明日何しようかな?#49

「むかブロ?」140日連続更新企画

自作小説を連載しています

温かい目で読んでください

第一章・第二章まとめ読みはこちら

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景子


「……本当にこんなの利用する人いるんですか?」

そこなんだ。それが最初の疑問なんだ。

「これがね、いるんですよ」

「どんな人なんですか?」

「社会に押しつぶされて辛い人。平凡なサラリーマンなんか、よく利用されてますね」

すみれさんはクスっと笑う。

「どうしたの?」

「いやだって、変な人もいるもんだなって」

あんたが言うな。

「闇を感じますよね」

「ですよね~。こんなの利用する人、絶対闇抱えまくってますよね」

私の知らないところで林さんとすみれさんが共鳴している。

「やりたいです」

すみれさんはさっきの質問一つだけでそれ以上は特に聞くことなく、聞き手役を引き受けた。

林さんと前に飲んだときにぽろっと言っていた。

「一度傷ついたことがある子とかが聞き手役に向いてるんだよね」

その言葉が妙に脳に残っていた。ジグソーパズルの一つのピースだけが脳にずっといるような感じ。それがすみれさんと出会って、カチっとピースがハマった。

この子なら愚痴を聞く役になれる。そう思った瞬間、林さんに電話せずにいられなくなった。

林さんは次から次へと話を進めていた。実際に依頼が来たときの対応の仕方や、様々なシチュエーションごとのテンプレートなど。数十枚の紙を渡し、説明を進める。この紙の束を持ってきていたってことは、もう雇う気満々だったんだな。

すみれさんはすみれさんで笑顔でそれを聞いている。この仕事ならタトゥーのことも気にすることはない。収入はどのくらいなのかは分からないけど、しばらくはこの仕事で食いつなぐことは出来るだろう。大好きな絵も辞めることなく続けられるのも彼女にとっては好材料だろう。

我ながらファインプレーをした気分だ。正義の味方ってこんな気持ちなんだろうな。

「佐々木さん」

「ん?」

「ありがとうございます。こんなにいい仕事紹介してもらって」

「いやいや」

すみれさんは林さんにもらった説明の紙を抱きながら、キラキラした目で私にそう言ってきた。良かった、世話も焼いてみるもんだな。

「いつから働くことって可能ですか?」

「いつでも大丈夫です」

「今日とかでも?」

「はい!」

そんなに愚痴を言いたい人はこの世にたくさんいるのか。そんなに切羽詰まっているんだろうか。本当にろくでもない世の中だ。見ず知らずの人にも頼りたくなるような愚痴言いの顔を一度は見てみたい。

「あ、最後に」

「はい」

「聞き手役の人には本名ではなく、偽名と言いますか、芸名みたいなものを決めてるんですよ」

「ほう」

「聞き手役をやるときだけの名前なんですけど、何にしましょうか」

すみれさんは少し黙り込む。

「……母の名前とかでもいいんですか?」

「もちろん!」

すみれさんはまっすぐ見据えた目で言う。

「じゃあ……ナオコで」


つづく


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【「明日何しようかな」あらすじ】

大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」

学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった

二○一○年三月、三人は卒業式前日にタイムカプセルを埋める

卒業式当日

景子の姉である莉子の失踪事件が起こる

事件の混乱で卒業式は中止が決定

心菜が光輔に告白することや、心菜が所属していた暗号部の最後の暗号を解くこと

それらを整理することが出来ずに、光輔、景子、心菜は離れ離れとなってしまう

ニ〇一八年、舞台は東京へ

事件は解決せず、心菜とは光輔、景子ともに音信不通となってしまう

景子は自宅の近くで雨宿りをしたのをきっかけに雑居ビルでアトリエを開いているすみれと出会う

すみれは腕に元カレのタトゥーが入っており、まともな職につくことが出来ないでいた

光輔は会社の帰り道、車窓からたまたまアパートの廊下にいた心菜を見かける

驚いた光輔は電車を飛び降り、心菜を探す

結局、心菜は見つからなかったが、心菜を見つけたアパートを確認することに

すると、アパートの一室にはあの日失踪したはずの莉子がいた

 

【登場人物】

・福山光輔(ふくやま・こうすけ

男性。百白中学校出身。頼りがいのあるしっかりもの。


・佐々木景子(ささき・けいこ)

女性。百白中学校出身。さばさばした性格。


・泉心菜(いずみ・ここな)

女性。百白中学校出身。寂しがりやの甘えん坊。


・佐々木莉子(ささき・りこ)

女性。景子の姉。2010年3月に失踪する。


・上杉史也(うえすぎ・ふみや)

男性。百白中学校の先生。通称「タッチ」。


・益川正義(ますかわ・せいぎ)

男性。莉子失踪事件を担当する刑事。


・早見徹(はやみ・とおる)

男性。元天才美容整形外科医。現在はラーメン屋を営む。


・片寄渚(かたよせ・なぎさ)

女性。心菜の味方をする。


・長谷川すみれ(はせがわ・すみれ)

女性。東京の小さなアトリエで絵を描いている。


・羽田部長(はねだ)

男性。光輔の上司。


・松尾(まつお)

男性。光輔の部下。


・林さん(はやし)

女性。「グッバイぐっちー」を運営する。

 

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