「むかブロ?」140日連続更新企画
自作小説を連載しています
温かい目で読んでください
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光輔
俺は少しずつ目が覚めていき、今自分たちの周りでものすごいことが起きていることを実感した。
「昨日、莉子さんを見かけたりはしていなかい?」
「……してないです」
「ちなみに光輔くんは昨日何をしていたか教えてもらえるかな?」
俺はこと細やかに昨日の行動を話した。学校に行ったこと、タイムカプセルを埋めたこと、山に登ったこと、全てを正直に話す。
「その間に何か不審な人物とか見てないかな?」
不審……。「特に何もなかった」と答えようとした寸前に思い出す。
「車……」
「ん?」
「変な車、昨日見ました」
俺は山に登ったときに見た車の話をした。黒色のクラウン。今思い出すとあの車が何か事件のカギを握っているのではと思った。
一通り話し終えると益川さんは手帳にメモしていた手を止めた。
「ありがとう。実は景子さんからも聞いてたんだ」
……ああ、そっか。そりゃそうだ、景子だってあんな怪しい車を見たら刑事さんに言うに決まっている。
「景子さんが言ったことと何一つ食い違わなかった。そのおかげでこの手がかりの信憑性が上がったよ」
益川さんはにっこりと俺に顔を向ける。この緊急事態のなかでも冷静に周りを落ち着かせようとしているのが分かった。
「でも車種までよく覚えていたね」
「いや……」
たしかに景子はあまり車には詳しくない。自分も有益な情報を言えたかと思うと少し安心した。もしこの車がこの事件に何か重要な影響を与えるものだとしたら、すぐに解決に向かうかもしれない。
「益川さん。あの僕からもいいですか?」
「うん」
「景子は……景子は元気ですか?」
益川さんは少しだけうつむく。
「家にはいるんだけど、かなり動揺してる感じだった。家族全員で昨日の晩からずっとこの辺りを探し回ってて。で、今日の朝三時に通報があったんだ。五時くらいに景子さんには会ったんだけど、そのときは寝てないこともあって疲れてる様子だったよ」
「莉子ちゃん……莉子さんは家に書き置きとかはしてなかったんですか?」
「全く。家出をするような素振りも全くなかったらしいし、何かに悩んでいる様子もなかったってお母さんが。こんなこと言いたくないんだけど、遺書とかも見つかっていない」
つまり、忽然と姿が消えたというわけだ。
「他に聞きたいことはある?」
「いや……」
この瞬間にもう一つのことを思い出す。
タッチ。あの先生と昨日会ったときは何かを隠しているような、そんな感じがあった。
「あの……上杉先生っていう、僕たちの担任の先生がいるんですけど」
「ああ、それも同じことを景子さんから聞いてるよ」
「そうですか」
昨日のタッチの姿が少し変だったことや、会ったときの時間帯なども伝えたがどれも景子が言っていたようだ。
「まだ学校には行けてないんだ。あとで事情を聞くよ」
俺は少しイヤなことをした気分になる。タッチが何か悪いことをしたとチクったような気がしたからだ。
でも、タッチは何か悪いことをするような人間じゃない、とも思ったけど益川さんには言えなかった。
つづく
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【「明日何しようかな」あらすじ】
大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」
学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった
二○一○年三月
中学卒業を間近に控えた三人は記念にタイムカプセルを埋めようと企画する……
【登場人物】
・福山光輔(ふくやま・こうすけ)
男性
百白中学校三年生
・佐々木景子(ささき・けいこ)
女性
百白中学校三年生
・泉心菜(いずみ・ここな)
女性
百白中学校三年生
・佐々木莉子(ささき・りこ)
景子の姉
・上杉史也(うえすぎ・ふみや)
男性
百白中学校の先生。通称「タッチ」
・益川正義(ますかわ・せいぎ)
男性
刑事
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